(美奈先生のレシピ小説)第22話 餅ピザを食べながら…♡
(美奈先生のレシピ小説)
美奈先生のレシピ小説22話
ついに美菜子さんに転機！もちろん今回もおいしいレシピ付き٩(ˊᗜˋ*)و
読むだけでお料理上手な気分になれるかも〜♬
「あけましておめでとう。…美菜子、すげー可愛い！」
薄桃色の小花の散った美しい着物が良く似合っている美菜子を見るやいなや、耕太は満面の笑みを浮かべ、走り寄る。
美菜子が実家から帰ってきた1月3日。
この日が、二人の2022年初デートの日になった。
「やだ、あまり見ないで。
年始年末食べ過ぎて、太っちゃったの。
着物は食べ過ぎ防止対策でもあるんだから。」
恥ずかしそうに言う美菜子に
「あ、やっぱり？そうかもって、ちょっと思った！」
と、耕太が屈託なく笑う。
「俺もそうなんだよなー。実家でゴロゴロしちゃって、腹がヤバい。今月はダイエットするよ。」
「…じゃあ、一緒に頑張らなきゃね。」
弱弱しく微笑み返しながらも、美菜子は内心ショックを受けていた。
自分では太っちゃったかも、と思ってはいたが、耕太からは
「いや、そんなことないよ。」
という言葉を半分期待していたのだろう。
まさかの無邪気に肯定されちゃうなんて、私ほんとに見た目も太ったんだわ…
美菜子が多少太ったところで、元々がスリムなので全く問題ないし、頬などは気持ちふっくらしてむしろ可愛い、と思っていた耕太の気持ちはもちろん伝わっていない。
…今月は絶対、なにがなんでもダイエットして体重戻そう。
と、ひそかに堅く決意をする。
初詣をして、少し早めのランチをとってから美菜子のマンションに二人で帰ると、美菜子は早々に部屋着に着換えた。
「もう脱いじゃったのか～」
心から残念そうにつぶやく耕太には申し訳ないが、大事な着物をいつまでも着ていて汚しては一大事だし、なんといっても動きにくい。
ようやく寛いで、二人でネットフリックスを見ていると、耕太のお腹がぐ～っと鳴った。
「昼のパスタが軽かったから、もう腹へってきちゃったよ。
おやつにピザでも取らない？」
と当然のように提案する耕太に、ついさっき、ダイエットと言っていたのに…と美菜子が呆れて、
「市販のピザを取るくらいなら、何か作るわよ。」
と言いながら、立ち上がる。
たしかにランチは軽めで、かくいう美菜子もおやつをつまみたい頃合いだった。
実家から沢山のお餅をもらってきているので、耕太がピザモードなら、お餅でピザを簡単に作れるのだが、ダイエット宣言したばかりの耕太と、耕太からも太ったと認定されてしまった自分に、お餅のおやつは如何なものか…。
そう告げると、耕太はあっけらかんと
「餅ピザ、いいね！美菜子が作るの大変じゃなければ、それ食べたいな。
せっかく二人でいて美菜子のうまい飯が食えるときには、ダイエットは考えたくないよ。
それに美菜子は太ったって言ったって、まだ痩せすぎてるくらいなんだから、ダイエットなんかしなくていいよ」
耕太の言葉に、やっと少し救われた気がした美菜子は、
「わかった。じゃあダイエットはお互い会ってないときに頑張りましょ！」
と急に元気になって、キッチンに向かう。
フライパンに餅を広げて大きく丸く焼いてもいいが、
ダイエット中には、一口サイズの方がいいだろうから、カナッペ風にしよう。
ピザに使えそうなものを物色すると、
冷凍のソーセージにオイルサーディンの缶。
とろけるチーズ。カルディの刻みオリーブ、ブルスケッタ。
野菜はプチトマトに、冷凍していた刻みパセリか…
うん、これで十分できそうだわ。
2枚の餅を厚さ半分に切って、4切れにする。
半分にはトマトベースのソース、半分はマスタードを塗る。
トマトベースの方には輪切りにしたソーセージとプチトマト。
マスタードの方には、ブルスケッタをのせて、オイルサーディン。
どちらもとろけるチーズをふり、トースターで5，6分焼けば、あっという間に完成だ。
お餅1切れずつのおやつなら、カロリー的にもギリセーフだろう。
「美味しそうだ！ありがとう、美菜子。…あちちっ！」
早速頬張る耕太に
「ゆっくり食べて！ダイエットの基本よ」
と、笑いながらたしなめ、猫舌の美菜子はそっと口に入れる。
「な、うまいだろ？」
まるで自分で作ったかのような自慢げな耕太におかしくなりながらも
「うん、美味しい」
と美菜子もにっこりする。
「うまいからあっという間に食べちゃったよ。
美菜子と結婚したら俺、ますます太るだろうな～」
「え？」
思わず顔を上げた美菜子に、
「…そろそろ、結婚してください。
毎日美菜子の料理が食べたいんだよ。…太ってもいいからさ」
照れ臭そうに、でも意を決したように耕太はきっぱりと言う。
え、このタイミングで？
お餅を食べながら、言うの？！
驚く美菜子だったが、それも耕太らしいわ…と、じわじわと喜びが広がっていく。
初詣で、今年は耕太にプロポーズしてもらえますようにって願ったの、叶うの早すぎ！
「…はい、私でよければ」
少し赤くなって嬉しそうに頷く美菜子に、耕太がホッとした顔で
「もっとちゃんとしたシチュエーションで言う予定だったのに、ごめんな。
美菜子の着物姿があんまり可愛いかったから、誰にもとられたくないって、ついあせって言っちゃったよ。 ちゃんとしたプロポ―ズは、今度きちんとするからさ。
とりあえず、美菜子キープってことで、よろしくお願いします」
真剣な表情で頭を下げる耕太に、つい吹き出してしまう。
「安心したら、また腹が減ってきた。ピザお代わりしたいな～。
あ、でも太って美菜子に嫌われたくないから、我慢しておくか…」
「そのくらいで嫌いにはならないから大丈夫よ。」
と、美菜子は笑いながら、答える。
…今年は、忙しくて幸せな１年になりそうだわ…
未来の夫のために次のお餅ピザを焼くべく、軽やかな足取りでキッチンに向かう美菜子なのだった。
材料2人分
切り餅2個、とろけるチーズ100g
A｛トマトペースト大さじ１、黒胡椒・おろしにんにく・タバスコ各少々｝、
B｛マヨネーズ大さじ１、カレー粉・マスタード各小さじ1/2、ブルスケッタ小さじ1｝
ソーセージ1本、プチトマト1，2個、オイルサーディン2尾、パセリのみじん切り適宜
① 2枚の餅を厚さ半分に切って、4切れにする。A、Bそれぞれ合わせておく。
② 2切れにはA、残りの2切れにはBを塗る。
③ Aの餅には輪切りにしたソーセージ、輪切りにしたプチトマトをのせる。Bにはオイルサーディンをのせる。それぞれチーズをふる。
④ 予熱したトースターに入れ、チーズが溶けるまで焼く。
⑤ オイルサーディンにパセリをふる。
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