(美奈先生のレシピ小説)17話 肉食男子へ挑む！勝負BBQ♡
(美奈のレシピ小説)
美奈先生のレシピ小説17話！
読むだけでお料理上手な気分になれるかも〜♬
terraceが季刊で出している大人気の料理ムック本の責任者でもあり、校了前はterraceのとの掛け持ちでかなりハードな生活になるのだが、寝不足のやつれた姿さえ色っぽく美しいと、編集部でも感心されている。
「美緒さんみたいな超美女なら、旦那さんもさぞイケメンなんでしょうね…」
ワインの酔いで仄かにけだるげな雰囲気になってきた美緒を見て、
梨沙がため息をつきながらつぶやく。
先月ムック夏号の撮影が終わり、ようやくコロナも終息してきた金曜日。
美緒とフードコーディネーターの梨沙は、次回の打ち合わせを兼ねた軽い打ち上げをしていた。
「うちのは体育会系でガタイはいいんだけど、間違ってもイケメンじゃないわよ。
梨沙ちゃんは、今フリーなんだっけ？」
「今もなにも、ここ数年ずーっとフリーです。しかも、今はふられたてです！」
「相手は良平君？」
サラリと聞く美緒に梨沙は一気に酔いがさめ、グラスを落としそうになる。
「え、え？！なんでそれ…」
「見てたらわかるわよ。この前の撮影のランチの時、なんかあったでしょ？」
「なんにもありません！何かある前に、ふられちゃったんです…」
（第15話 梨沙の勝負まかない～カダイフ風サーモン）
「良平君も、もったいないことするわね…。
よかったら、誰か紹介しようか？」
「ぜひぜひぜひー！弟にまで素敵な彼女ができて、ちょっと焦ってるんですよ」
前のめりに即答する梨沙に、美緒は笑いながら頷いて、
「来週末うちでBBQパーティーするんだけど、遊びに来る？
旦那の後輩でフリーのいい男いっぱいくるわよ。
みんな美緒ちゃんと同年代くらいじゃないかしら。」
「行きます！そしたら私、なにか料理作りましょうか？」
「当日は梨沙ちゃんにはゆっくりしてほしいし、BBQはいつも彼らが焼いてくれるから、マリネしたお肉とか持ってきてもらうのがいいかも。
旦那の学生時代のアメフト部のメンバーなんだけど、とにかくみんなよく食べるのよ。しかもお肉ばっかり。」
「わかりました！」
ということで、美緒宅でのアメフト部OBの恒例BBQへのゲスト参加が、急遽決まった。
肝心の肉は、美緒が牛ステーキを用意、梨沙は得意の骨付き肉担当になった。
「彼ら、肉食系だから骨付き肉大好物なのよ。胃袋つかんじゃいなさい！」
みな好き嫌いもないというので、ラムチョップとスペアリブを前日に購入した。
スペアリブは火が通りにくいので、筋切りをして骨と身の間に切込みを入れ、全体をフォークで刺して、沸騰した湯でさっとゆでこぼす。
こうすることで余計な脂も抜け柔らかく美味しくなり、味しみもよくなる。
下味付けは、その後だ。
豚は果物の甘酸っぱさと相性抜群なので、マーマレードやベリー系やマンゴーのコンフィチュールを使うこともあるが、梅仕事を終えたばかりなので、今回は作りたての梅ジャムと3年前に漬けた梅酒を使おう。
ここにおろし玉ねぎや醤油、おろしにんにく、ごま油、塩胡椒を加えてバランスをとる。
ラム肉の下味には、クミンが鉄板だ。
パウダーではなくシードを使うことで、焼いたときに香ばしさもでる。
スパイシーにした方が仔羊の旨味が引き立つので、チリパウダーも多めにふる。
チリパウダーに入っているオレガノやパプリカも、羊には合うのだ。
そして、生のパクチーを根っこごと細かく刻んでいれるのも、隠し味のひとつ。
おろしにんにくや赤ワイン、マスタードなども、手早く混ぜていく。
ジップロックにそれぞれ調味料を合わせ混ぜたら、肉を入れしっかりもみこみ冷蔵庫へ。
どちらも一晩下味をつけることで、お肉のくさみもとれ柔らかくなり、いい感じに味もつく。
あとは、当日持っていけばOK。
ホームパーティーというと、どこに行ってもいつも料理担当でバタバタの梨沙だが、
今回は男性陣が焼いてくれるから、何もしなくていいと言われている。
そうはいっても、きっと見ていたら手伝わずにはいられない梨沙なのだが、
みなと一緒に食べて飲んで楽しめそうなのが、嬉しい。
美緒さんのご主人の後輩さん達か…どんな人たちだろう。
なんだかワクワクするわ。
梨沙は久しぶりの新しい出会いをあれこれ想像し、期待に胸を膨らませながら、眠った。
そして当日。
「梨沙ちゃん、このラムチャップはトマトと一緒に食べればいいの？」
「はい。ハーブで風味付けして焼いたトマトだから、つぶしながらソースにしてお肉にからめてください」
「うわー！めちゃうま！これなら野菜も食べられるわー。
「スペアリブもやわらかっ！フードコーディネーターすげえ！」
「やった～。嬉しいです。」
梨沙の骨付き肉は、男性陣からも大好評で、明るく気配り上手な梨沙は、たちまち皆の人気者になっていた。
「梨沙ちゃん、楽しんでる？」
ワインを取りに行った梨沙に、美緒がさりげなく近づいてきて、尋ねる。
「美緒さん、ありがとうございます！
よく食べる男の人って気持ちいいですね。
体育会系の人って、今まで付き合ったことなかったけど、
あり！って気がしてます♡」
「よかった！
今コロナビールをラッパ飲みしてる佐藤君以外はみんなフリーだから、選び放題よ。」
「え、佐藤さん、フリーじゃないんですか？！」
佐藤のワイルドな食べっぷり飲みっぷりに、ひそかにキュンときていた梨沙は、思わず叫んだ。
「まあ！よりによって、佐藤君を気に入っていたの？！
他にもたくさんイケメンがいるのに…」
美緒は残念そうにため息をつく。
次の恋は、もう少し先かな・・・
梨沙は肩を落としながら、美緒の注いでくれた極上の赤ワインを、一気に飲み干すのだった。
●BBQスペアリブ
【材料・10人分】
スペアリブ10本、A｛梅ジャム・梅酒各大さじ2、ごま油・おろし玉ねぎ・醤油各大さじ１、おろしにんにく小さじ１、塩胡椒少々｝
【作り方】
① スペアリブは筋切りをして骨と身の間に切込みを入れ、全体をフォークで刺して、沸騰した湯でさっとゆでこぼす。
② ジップロックにAを合わせ、粗熱がとれた①のスペアリブを入れもみこみ、冷蔵庫に一晩おく。
③ 常温に戻した②のスペアリブを焼く。
●BBQラムチョップ
【材料・10人分】
ラムチョップ10本、オリーブオイル・赤ワイン各大さじ２、粒マスタード大さじ１、はちみつ小さじ１、クミンシード小さじ２、チリパウダー・パクチー各小さじ1、ハーブソルト・おろしにんにく小さじ1/2、黒胡椒少々
【作り方】
① ジップロックにAを合わせ、ラムチョップを入れてもみこみ、冷蔵庫に一晩おく。
② 常温に戻した②のラムチョップを焼く。
※ハーブソルトをふって焼いたトマトと一緒に食べると、さらに美味しい。
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