(美奈先生のレシピ小説)第12話カルディが結ぶ女の友情~クリスマスの簡単華やかディップ♪
(顧問美奈のレシピ小説)
美奈先生のレシピ小説12話!!!読むだけでお料理上手な気分になれるかも〜♬
梨沙は、アラームを止めると、伸びをして起き上がる。
先日弟の祐輔が、オシャレな料理を作ろうとやけに気合い入れてアドバイスを求めてきたので、(「第10話 オトコの勝負料理は、イタリアン」)カマをかけたら案の定、彼女の誕生日祝いだとわかった。
あいつ、実家にいる頃はパスタくらいしか作れなかったくせに、イタリアンのコースなんてやるじゃない!
しかも、自分と同い年の料理上手な彼女というので俄然興味が湧き
「うちに連れてきて紹介しなさいよ。」
と、冗談半分にいうと、
「彼女、料理はプロ並だよ!」
などと臆面なく自慢げに言うので、フードコーディネーターのプライドが刺激され
「あんたのしょぼい料理のリベンジで、私が彼女に美味しいもの作ってあげるわ」
と啖呵をきってしまったのだ。
祐輔がまどかに話すと、同い年でフードコーディネーターをしている姉、と聞いて、こちらも興味津々で是非会いたい、と言ってくれたらしく、とんとん拍子に話が決まり、週末遊びに来ることとなった。
「姉貴が牛肉が好きって言ったら、まどかが牛肉の赤ワイン煮を作っていくって言うから、メインは作らなくていいから。俺はワインもってくよ。」
リサーチすると、まどかはチーズの資格を持っているチーズ好き、ラム肉と海老が好き、野菜も大好き。エスニックが好き。嫌いなものはなく、ワインもいけるクチという。
…今回は、野菜たっぷり、チーズも使った、ワインに合うお洒落なエスニックってところかな。
ゲストの好みを聞いて、メニューを組み立てていくワクワク感が、梨沙は大好きだ。
女性の好きな野菜といえば、アボカドとか蓮根が鉄板よね。
あ、千葉の美味しい古代蓮根があるから、チーズを使った、ガレット作ろう。
梨沙のお気に入りメニューのひとつで、ココナッツオイルで焼くのがポイントだ。甘い香りと風味が蓮根にぴったりなのだ。
カルディで売っている、ほんのり甘い磯の香りの「あおさ醤油」にマスタードを加えると、止まらなくなる。
チーズも、コクのあるグリュイエールチーズやエメンタールチーズを使うと、ぐっと深みがでて、ワインにも合うだろう。
これは、焼きたてを出すとしても、私も一緒におしゃべりしたいから、後は作り置きしておけるものがいいわね。
カンパーニュを焼いて、ワインに合う野菜のディップを何種か。
クリスマス近いから、クリスマスカラーで、アボカドとブルーチーズのディップに、スパイスきかせたビーツのフムスとか、いいかも。
ピンクとグリーンで華やかになるわ。
フムスは女性に人気の中東料理、ひよこ豆と練り胡麻のペーストだ。エスニックマニアなら好きに違いない。
ここにつぶしたビーツを加えると、たちまち可愛らしいピンク色のフムスになり、女性ならテンション上がること間違いなしのラブリーなディップになる。
サラダ系は、肉系と魚介系1種ずつかな。
せっかくだから、まどかの好きなラムと海老を使おう。
ラムの薄切り肉をしゃぶしゃぶして、パクチーやバジルやミントなどハーブたっぷりと和えたラムしゃぶのサラダと、大海老をどっさり入れたスパイシーなヤムウンセン(タイ風春雨サラダ)。
うん、いいわね。
ドルチェは、マスカルポーネチーズに自家製カルーアを贅沢に使った、梨沙得意のスペシャルティラミスで決まりだ。
掃除を念入りにすると、早速料理に取り掛かる。
まずはパンをこねる。
発酵させている間に、ティラミスを作り、しっかりと冷やしておく。
次に、ディップ。
アボカドは、それだけでもまろやかで美味しいが、ブルーチーズを加えるとぐっと引き締まり、ワインに合う味となる。
今回はカルディオリジナルの、粗みじんのグリーンオリーブのペースト「ブルスケッタ」も加える。 これにはオリーブだけでなく、アンチョビやケッパー、バジルやガーリックなども入っているから、少し入れるだけで深みが出るし、さらにワインがすすむ美味しさになる。
仕上げにピンクペッパーをふると、これまたクリスマス感が増して可愛い。
そして、ビーツのフムス。パーティー料理のケータリングの時などは大量に作るので、いつもビーツは生から使う。丸ごとを皮のままホイルに包んでオーブン焼けば、皮もつるんとむけて、柔らかくつぶれる。
が、今回は4人分と少量なので、水煮缶のビーツで手軽に作ろう。ディップに混ぜる程度なら味はさほど劣らない。
ひよこ豆もしかり。大量料理の時は一晩浸水させて茹でるが、今回は少量なので、スーパーで売っている50g使い切りパックの水煮でちょうどいい。
練り胡麻を加え、胡椒とクミンパウダーをたっぷりふる。
思いついて、ここにもカルディオリジナルの「食べるナッツソース」を少しだけ混ぜて味見をすると、ぐっとコクが増し、さらにグレードが上がった。
「私、天才!」と梨沙は満足げに頷く。
ディップに使った残りのビーツは、食べやすく切って、残ったゴルゴンゾーラと合わせて、これもサラダにしよう。
ビーツとブルーチーズの相性も抜群だし、宝石のようにきらきら光るビーツは、映えることこの上ない。
サラダを仕上げたところで、ちょうど時間通りにチャイムがなる。
「いらっしゃい!」
満面の笑みで迎えた梨沙に、祐輔が照れ臭そうに、
「えーと、こちらまどか。俺の、なんていうかその」
「彼女でしょ!まどかさん、よろしくね。梨沙です。お会いできて嬉しいわ!」
「梨沙さん、初めまして、まどかです。私もお会いできるの楽しみにしてました!」
ちょっと恥ずかしそうに、しかし好奇心でキラキラした目で微笑むまどかに
(やだ、すごい美人じゃない!しかもとっても感じいい。祐輔ったらどこで知り合ったのかしら)
と、内心驚きながら、まどかの持参したクーラーバッグと籠に入ったポインセチアのアレンジメントを受け取る。
「可愛いお花をありがとう!このままテーブルに飾らせてもらうわね。
お料理上手って祐輔から聞いてるわよ。牛肉も楽しみ!」
「そんな!フードコーディネーターの梨沙さんに素人が恥ずかしいんですけど、牛肉がお好きと聞いて」
「やーね。まどかさんがチーズとかラムとかオシャレな食材が好きって言ってるのに、私はおっさんみたいに牛肉好きとか、余計な情報を!」
「ホントのことだから仕方ねぇじゃん」
口を尖らす祐輔も、まどかには初めて見る表情で新鮮だ。
「まどかさん、この牛肉ワイン煮込み、柔らかくて最高~!」
「梨沙さんこそ、お料理本当にすごい!特にこのアボカドのディップ、深みがあって止まらないわ。ビーツのフムスも可愛いのに美味しすぎる!」
「アボカドのはね。カルディのオリーブペーストが隠し味なの。ビーツのフムスも隠し味はカルディのナッツソース。どっちも、いれるだけでコクが出るわよ。
ふふ。カルディ好きがバレちゃった。」
「え、私もカルディ大好きなんです!『ブルスケッタ』と『食べるナッツソース』、うちにもあるわ。こうやって使うといいのね。流石だわ!勉強になります」
女二人すっかり打ち解けてLine交換などしているのを、祐輔は複雑な気持ちで見守っているが、すでにワイン2杯目で目がうつろだ。
「あ、あんたお酒弱いんだから、もうやめときなさいよ。連れて帰るまどかさんが大変でしょ。2人は一緒に住んでるの?」
さりげなく探りを入れると
「ううん、でも実はマンションの隣の部屋でね。それがきっかけで知り合ったの。」
「え?そんな出会いってあり?!小説みたいね。」
梨沙は目を丸くして、うとうとしかけている祐輔の足をテーブルの下で蹴飛ばす。
「ふふ。彼、眠そうだし、そろそろお暇するわ。また連絡します。」
「そうね、次はご飯でも行きましょう!祐輔抜きで。」
2人を見送り、ダイニングに戻る。まどかが手早く後片付けを手伝ってくれたので、やることもほとんどない。
…祐輔にはもったいないくらいいい子ね。私も頑張らなきゃ!
弟のラブラブな様子に刺激を受け、少し焦りを感じる。
今少しいい感じのあのカメラマンに、自分からもう一歩近づいてみようかな…と、テーブルの上の愛らしいポインセチアを眺めながらつぶやく梨沙なのだった。
●アボカドとゴルゴンゾーラのディップ
《材料・4人分》アボカド小1個(100g)、レモン汁少々、A{ゴルゴンゾーラ小さじ1、ココナッツミルク(生クリームか牛乳)50cc、あればカルディのブルスケッタ(グリーン)小さじ1、ハーブソルト・黒コショウ各適宜}、ピンクペッパー各適宜
《作り方》
① アボカドの皮をむき、レモン汁であえる。
② ①のアボカドをバーミックスなどで攪拌し、Aも入れてなめらかになるまで攪拌する。
③ 器に盛り、ピンクペッパーをトッピングする。
●ビーツのスパイシーフムス
《材料・4人分》ひよこ豆の水煮50g、にんにく1/4片、ビーツ水煮缶50g、A{白練り胡麻・オリーブオイル各大さじ1、ヨーグルト大さじ1/2、あればナッツソース小さじ1、塩胡椒・クミンパウダー・カイエンペッパー各少々}、あればイタリアンハーブ適宜
《作り方》
① にんにくは皮をむいて粗く刻み、水気をきったひよこ豆、ビーツと一緒に、バーミックスなどで攪拌する。
② ①の水気をきり、水けをきったビーツを加えフードプロセッサーで攪拌し、Aを加えさらに攪拌する。
③ 器に盛り、イタリアンハーブを飾る。
※「蓮根ガレット」作り方はYouTubeにアップしています。↓↓
蓮根ガレットはコチラ
第11話〜の登場人物はコチラ
第1話〜第10話の登場人物はコチラ
第1話はコチラ
第2話はコチラ
第3話はコチラ
第4話はコチラ
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第8話はコチラ
第9話はコチラ
第10話はコチラ
第11話はコチラ
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