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    (顧問 水谷美紀の食エッセイ)食べたら書きたくなって 第21回 ミシュラン2つ星を誇る“異端の名店”の舞台裏 映画『ムガリッツ』

    (水谷美紀の食エッセイ)

    水谷美紀の食エッセイ『食べたら書きたくなって』第21回は映画「ムガリッツ」を紹介。 革新的な料理が生み出される過程を追ったドキュメンタリーです。

    (顧問 水谷美紀の食エッセイ)食べたら書きたくなって 第21回  ミシュラン2つ星を誇る“異端の名店”の舞台裏 映画『ムガリッツ』
    「ミシュラン2つ星」のレストランと聞いて、どんな店を思い浮かべるだろう?
    ゴージャスまたはシックな内装、そつのない完璧なサービス。当然、一流の食材を一流のシェフが調理した、食べる人を一口で笑顔にする料理は欠かせないはずだ。

    ところが、そんな大方のイメージを完全に裏切る2つ星レストランがある。本作で紹介されているスペイン・バスク地方の名店、「レストランを超えたレストラン」と呼ばれるムガリッツだ。

    本作は革新的な料理で世界中の美食家を驚かせ続けているムガリッツの研究開発チームに密着し、メニュー開発の舞台裏を追ったガストロノミー・ドキュメンタリーだ。監督は『REC』シリーズなどで知られるパコ・プラサ。自身もムガリッツの大ファンだという。

    料理はただ美味しいだけではなく、食べる側の思考と想像力、固定概念に挑戦する意図でつくられている。ムガリッツが提供しているのは、料理という形をとった唯一無二の体験であり、アルゴリズム時代に挑戦する「反アルゴリズム」の結晶なのだ。

    毎年11~4 月の6か月間は完全休業し、スタッフ総出で新しいメニューの開発に専念する。その年に誕生した料理が翌年以降に提供されることはなく、すべて一年限りで消滅してしまう。スペシャリティを残さない潔さに、メニュー開発に賭ける意気込みとプライド、そしてこの仕事を徹底的に楽しむ子供のような遊び心が感じられる。

    オーナーであるアンドニ・ルイス・アドゥリスは、ムガリッツの料理を絵画にたとえる。
    多くの人はルーベンスやゴッホの絵葉書のような絵画(料理)を求めている。だが、ムガリッツの料理はマーク・ロスコやジャクソン・ポロックなのだと。

    彼らの絵画に似て、ムガリッツの料理は笑顔だけでなく、時に怒りや悲しみ、不快な感情すら呼び起こす。そのため、どんな店か知らずに来た客が激怒し、大騒動になったこともあったという。

    今回は「見えない物」というテーマに従い、新作メニュー30品が生み出される。その過程は大変の一言に尽きるが、同時にとても魅力的だ。開発チームにはシェフだけでなく、まったく異業種の者も加わり、試食会では辛辣な感想も飛び交う。それをアンドニは意外なほど丁寧に拾い、フィードバックしていく。徹底的にアーティスティックだが傲岸ではないのだ。客のキャパシティを見極め、「引かれない」ギリギリの線で踏みとどまれるアンドニのバランス感覚こそ、この店がオンリーワンの人気店になれた所以かもしれない。

    「骨」「ミチョリン」「ドローン」などのタイトルがついた品々は、現代アートの作品のようだが、もちろんすべて食べられる。湯葉や納豆、昆布に麹、出汁など、日本の食材もたくさん使用されており、シェフ達の知識の豊富さと技術力、豊富なアイデアに圧倒される。

    斬新で奇をてらった物ばかりでなく、たとえば茶道を外国人らしい感性で解釈した儚く美しいメニューも登場するなど、レンジの広さも卓抜している。やはりムガリッツは世界中からファンが殺到する、まぎれもないミシュラン2つ星、そして傑出した異端のレストランなのだ。


    (作品情報)
    ムガリッツ

    9月19日(金)よりシネスイッチ銀座ほか順次ロードショー
    ©2024 TELEFONICA AUDIOVISUAL DIGITAL, S.L.U.

    【CAST&STAFF】
    監督:パコ・プラサ 脚本:パコ・プラサ、マパ・パストール
    提供:ティー ワイ リミテッド 配給:ギャガ
    後援:駐日スペイン大使館 インスティトゥト・セルバンテス東京
    原題:『MUGARITZ. NO BREAD NO DESSERT』/2024年/スペイン/カラー/96分/字幕翻訳:比嘉世津子
    公式HP:https://gaga.ne.jp/mugaritzmovie/
    公式X:mugaritz_jp




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