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    (顧問 水谷美紀の食エッセイ)第2回出汁にかける少女・映画『みをつくし料理帖』

    (みをつくし料理帖)

    顧問 水谷美紀さんの食エッセイはじまりました。クリエイティブディレクター・コピーライターとして活躍する美紀さん。全国料理教室協会では、「伝える文章表現にもこだわる料理教室講師にー!」を目標に、美紀さんからもアドバイスをいただいていきますよ〜!こちらのページでは、全国を取材し続ける美紀さんワールドな食エッセイです。第2回出汁にかける少女・映画『みをつくし料理帖』。

    (顧問 水谷美紀の食エッセイ)第2回出汁にかける少女・映画『みをつくし料理帖』
    京都にKという割烹料理店がある。
    カウンターと小上がりが一つあるだけの小体な店で、確かな味とあっさりした雰囲気が気に入り、先代の頃からたまに足を運んでいる。

    ひそかにランチもやっていて、必ず京都らしい白味噌のお味噌汁がつく。これが滅法おいしい。
    何でもない顔をして出されるので毎回油断してしまい、何気なく口をつけた瞬間はっと驚き、ああそうだったと思い出す。長年この店の評判を支えている出汁に綺麗な白味噌が溶け合ったお味噌汁はほとんど一品料理のようで、夜に出される椀物と同等の価値があると思っている。塩辛い食べ物が苦手な身としては美しい白色と優しい甘みがしみじみ嬉しく、自然と顔がほころんでくる。

    白味噌が甘いのは赤味噌より米麹の量が多いからだが、麹の多さは白味噌の熟成期間が短く、塩分濃度が低いことも関係している。一方、長期熟成させる赤味噌は塩分濃度が高く、白味噌より米麹の量が少ないため甘みがなく、よって糖質も低い。ちなみに八丁味噌など東海地方特有の豆味噌は豆麹、九州と西日本に多い麦味噌には麦麹が使われている。

    お雑煮のときも話題になるけれど、そもそも白味噌を食べる文化が関西以外の地域にはほとんどない。最近でこそ白味噌に漬けた魚を焼く西京焼きがメジャーになったものの、だからといって白味噌が全国的に市民権を得たわけではない。赤味噌で育った人のなかには甘い味噌汁や白い味噌に拒否反応を示す人も多い。

    これは出汁も同じで、現在はいりこやあごなど、地域を問わずさまざまな出汁が使われるようになったが、関西は昆布出汁、関東はかつお出汁が主流という文化はそう簡単には変わらないだろう。

    わたし自身は故郷で出されていた赤だしのようなお味噌汁が苦手だったので、マイルドな合わせ味噌や白味噌は大歓迎だ。ただ、実はまだ白味噌の味噌汁で“猫まんま”をやったことがない。あればかりは赤味噌の方が合うように思うけど、案外白でもいけるのかもしれない……。

    最近観た映画『みをつくし料理帖』(監督:角川春樹)でも、味噌や出汁など東西の食文化の違いが大きくクローズアップされていた。どちらの人の気持ちもわかるので、料理が出てくる場面では終始「そうそう」と膝を叩きまくっていた。

    舞台は江戸時代の神田。当時では珍しい女性の料理人として奮闘する澪(松本穂香)の成長を描いた物語だが、同時に上方育ちの澪が食文化の違いに戸惑いながらも、やがて江戸っ子をうならせる料理を次々と考案していく“痛快レシピ映画”でもある。まさにこの連載で紹介するのにぴったりの作品だ。

    洪水で身寄りをなくし、恩人である奉公先のご寮さん(若村麻由美)と江戸にやって来た澪は、蕎麦屋を営む親切な老店主(石坂浩二)に雇われ、料理をまかされる。ところが上方で素質があると言われていた澪の料理は、江戸でまったく好まれない。

    それもそのはず、昆布出汁や白味噌で育った澪の優しい味つけは、職人が多く、かつお出汁や醤油・塩をしっかりきかせた濃い味を求める江戸っ子には物足りなかったのだ。

    江戸っ子の好みを汲んだ料理を作ることでようやく認められ、評判になっていく澪。だが、今度はひそかに想いを寄せる謎の浪人・小松原(窪塚洋介)に「味の基本がなっていない」と言われてしまう。味の基本とは出汁のことだと思い至った澪は、江戸の料理に欠かせないかつお出汁を一から学び、馴れ親しんだ昆布出汁と合わせた独自の出汁を生み出すのだが──。

    登場する料理は数も多く、見ていて飽きない。口の悪い常連客にもめげず白味噌を貫いた土手鍋風『牡蠣の味噌仕立て』、はじめて料理番付に載った『とろとろ茶碗蒸し』、船型にした昆布で牡蠣を蒸し焼きにした『昆布の宝船』、ハマグリの器に映える黄身の味噌漬け『鼈甲玉』etc.映画の公式サイトにはそれぞれ写真が掲載されているが、原作には各巻末(全10巻+特別篇)にレシピも収められている。

    忠実に再現された江戸時代の調理場がこれまた魅力的で、調理過程も含め、つい目を凝らしてしまう。現代のような便利な調理器具は何ひとつないけれど、一度こういう調理場を使って腕をふるってみたいと、料理好きなら思うのではないだろうか。

    この映画はもうひとつ、料理のおかげで再会できた澪と親友・野江との友情も大きな見所だ。女衒に売り飛ばされ、吉原で太夫になった野江の境遇を知った澪は、いつか料理人として成功し、莫大な落籍料を払って野江を助け出すと誓う。そんな澪の生き方は時代小説のヒロインでありながらも先進的で、今を生きるわたしたちの背中も押してくれる。

    監督は数多くのヒット映画を製作してきた角川春樹。本作が監督としては生涯最後の作品ということで、かつて角川映画に出演したスターが多数出演していることでも話題だ。初出演時は未知数の新人だった彼らが今では日本を代表する俳優になっていることを思うと、慧眼に改めて敬服する。

    本作でもその能力は遺憾なく発揮されている。松本穂香の抜擢もだが、今回が初の角川作品となる窪塚洋介が実にいい。御膳奉行という身分を隠し、要所要所で澪に気づきを与える飄々とした浪人・小松原役を、ずば抜けた個性を発揮しつつ、涼やかに演じている。

    立冬も過ぎ、そろそろ鍋をつついて一杯飲みたくなってきた。澪のレシピを参考に、今年は白い土手鍋に挑戦してみようかな。

    (作品情報)

    みをつくし料理帖
    2020年10月16日公開
    https://www.miotsukushi-movie.jp/index.html

    出演:松本穂香 奈緒 若村麻由美 浅野温子 窪塚洋介 小関裕太 藤井隆 野村宏伸 衛藤美彩 渡辺典子 村上 淳/永島敏行 反町隆史 榎木孝明 鹿賀丈史 薬師丸ひろ子/石坂浩二(特別出演)/中村獅童

    製作・監督:角川春樹/脚本:江良 至、松井香奈、角川春樹/原作:髙田 郁「みをつくし料理帖」(角川春樹事務所)/料理監修:服部幸應

    配給:東映



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